第3話 大人の生徒さん

秋の空は、雲が高いところにあって、思わず手をのばして、背伸びしてみた。
二人の大人の生徒さんの話です。
御歳80歳ぐらいの生徒さんが、歌の試演会でうまく歌えなくて、「がっかりで、落ち込んでるの」と、レッスンにみえた。
レッスンのことを思い出して、よくよく練習したのに、と、何度も悔しがっておっしゃってました。
「いつか、良い歌が歌いたいのよ。」と、ひたむきな気持ちを私に訴えて来ます。
私も、このような気持ちで、80歳になっても学べるだろうか。
もう一人は、私の叔母です。
やはり、80歳ぐらいですが、好きな歌を習いたいと、私の講座に、電車に乗りやって来ます。
この夏は暑かったので、夏はお休みして、気候が良くなったら来てね、と伝えますと。
「休んだら、遅れちゃうから、お休みしたくない」と、これまた、強く私に訴えて来ました。
気持ちは学生気分なのか……。
これまた、私が頭を下げたくなりました。
生徒さんからは、多くを学んでいます。